皆さん、どーも！バウムです。
今回は、
フランスがヨーロッパで一番
テロの発生率が高い国である理由とも
深く関係のある
フランス独自の政教分離概念
「ライシテ」が
成立していった歴史
を簡単にまとめながら
実際に「ライシテ」とは
どんな要素から成り立っているのか
を分かりやすく解説していこう
と思います。
フランスにおける政教分離「ライシテ」とは
「ライシテ」とはフランスにおける
政教分離の考え方で
大きく分けると
2つの要素からなっています。
「国家と教会の分離」を示す
19世紀初めごろまでフランスは
宗教と公的機関である
教育や政治の場が
強く結びついていました。
学校でも多くのキリスト教聖職者が
教師として
道徳教育や
宗教教育を行っていました。
しかし1833年「ギゾー法」により
公立学校の創設が始まり、
1882年には全ての児童に対する
宗教的科目が排除され
1885年ついに
「公立学校の教師は
非聖職者であらねばならない」
という法律が制定されます。
そして1905年「政教分離法」
が制定され
1．信教の自由の保障
2．国が特定の宗教を援助しない
3．公共の秩序の為なら
国が宗教的実践を制限できる
という3点が明文化されました。
これがライシテの1つ目の要素
公的性格を持った「国家」と
それまで国かそれ以上に権威を
持ち教育にも影響を与えていた
「宗教」を切り離したのです。
その上で宗教を国側が制限する
こともあるとしながら
以前のようにカトリックのみを優遇したり
その他キリスト教のプロテスタント派
などを弾圧したりはしないなどの
「信教の自由」も認めました。
この時点で「信教の自由」という
思想はあったにしても、
それはキリスト教の中でも
色んな宗派があったためで
きっとイスラム教信者なんて
夢にも想定していなかったのでは
と個人的には思います(笑)
「あらゆる宗教の平等の保障」を示した
1905年の「政教分離法」において
信教の自由が明文化されたフランスですが
それはあくまでキリスト教を念頭に
置いたものであり
ユダヤ教やイスラム教は
キリスト教の扱いに比べて
以前差がありました。
しかし1946年の
第4共和国憲にて
「全てのレベルにおいて
ライック（政教分離的な、宗教中立的な）で
無償の公教育を
提供することが国家の義務」
とされたほか
その第一条には
「フランスはライックな共和国」である
と明記されており
1789年の人権宣言以来
初めて「信教の自由」が
憲法に明文化されるこ
ととなります。
そしてそれは
宗教によるあらゆる差別を禁じる
という目的の下記されました。
さらに1958年には
第5共和国憲法にて
第４共和国で示した
「あらゆる宗教の平等」
という概念を国民に
浸透させることを目的とし、
「共和国は、全ての市民に対し、
その生まれや人種や宗教によって
差別することなく、
法の前で平等であることを保証する」
と記しました。
こうして、フランスでは国家が
全ての宗教に対し
形の上（法律上）ですが
平等性を与えたことになります。
しかしここでも「ライシテ」が
何かは定義されなかったため
「ライックな」国家が
どこまで宗教に法的制限を加えていいのか
信教の自由と国家の秩序のバランスが
今でも難しい問題となっています。
今でもフランスのニュースや
社会について話すとき
驚くほど「ライシテ」という言葉を
聞きますが、なのに明確に定義された概念
ではないなんて、よっぽど不便でしょうね。
ライシテが現在のフランス社会に与える影響｜スカーフ事件
フランスでは「ライシテ」の定義が
明確にされていないので
本当に様々な解釈の仕方がありますが、
現代フランスでは憲法で記される
ライシテを根拠として
公的な場所で「目立つような」
宗教的しるしを
身に着けてはならないという理由から
公立学校でムスリムの生徒が
イスラム教の教えにのっとって
スカーフを頭に被ることを禁じています。
これは信教の自由の侵害か
それとも平等を保障するために必要な
措置なのか、
皆さんはどう思いますか。
個人的には、公共の安全を守るためなら
あまりイスラムを弾圧しない方法を
模索すべきでは、と思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
フランス語関係者や
フランスにしばらく住んでいる人ならば
耳にしたことがあるだろう
「ライシテ」ですが
正確な定義が無いゆえに
日本語訳もなかなか難しいですよね。
今回はライシテについて非常に
簡単にその特徴をまとめました。
ライシテはフランスがヨーロッパ１
テロが発生する国であることや
移民と非移民の間の格差にも
重要な影響を及ぼしています。
ぜひいろんな視点からライシテと
その社会や歴史に与える影響を
考えて見て下さいね！
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